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育児休暇中、2歳児以下(3歳児クラス)の子どもは退園させられる

 

2014年9月から2015年9月にかけて、世間を騒がした所沢市の育児休暇中の保育園利用に関する出来事は多いに世間の注目を浴びた。※

 

※所沢市での一連の出来事

2015年4月より「下の子の出産に伴って保護者が育休を取得する場合、保育園に通う上の子が0~2歳であれば原則として退園させる運用」を始めた所沢市に対し、保護者が新らしい運用方法の撤回を求めてさいたま地裁に申し立て、さいたま地裁が退園の執行停止を認める決定を下した一連の出来事。詳しくはhttp://www.yomiuri.co.jp/matome/20150629-OYT8T50253.html(育休で上の子が退園」…地裁が執行停止を決定)参照。

 

実は、このような運用は所沢市に限らず、広く実施されています。

 

私は、現在は妻ともうすぐ2歳で保育園に通っている子どもと名古屋市で生活していますが、来年4月からは妻の親が生活する小牧市に引っ越す予定です。

第2子、第3子も可能であれば育てたいと考えています。

先日、小牧市役所の子ども未来部保育課に保育園入園について話を聴きに行きました。

そのとき、小牧市においても所沢市同様の運用がされていることを知りました。

後日、そのことを知った妻が「子どもが3歳になるまでに第2子が生まれたら、長男が保育園を退園しなくてはいけないから第2子を生むのは長男が3歳になってからにしよう」といったことを話しました。

私は直感的に「おかしい」と感じました。

行政が保育サービスを提供できないという理由で子どもを生むということを諦めざるを得ない状況はおかしくないか。

 

育児休暇中に上の子が退園させられることはなぜ問題か

 

1.子どもを中心として考えていない

小牧市において0歳児から3歳児クラスにおいて待機児童問題が深刻であるとされていますが、小牧市は平成27年4月より「幼児期には集団生活が子どもの健やかな育ちにとって必要であることや。子育て支援の充実を図ることを踏まえ」、育児休暇期間中であっても3歳児の新規入園申込が可能となりました。http://www.city.komaki.aichi.jp/koho/kocho/koe/koe/10555/012317.html

2歳児以下と3歳児以上で子どもの育ちにおける集団生活の重要性が違うのか、その根拠がまったく不明確である。

専門家の中には「子どもたちは、集団で友達と一緒に過ごすことで心理的に豊かに成長し、必要な運動も保障され、その後の発達にも大きな影響を及ぼす」(横井喜彦・中京学院大准教授)という意見もあり、集団生活の重要さは年齢に関係は示されていません。

http://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/20150807-1.html(保育園の「育休退園」ルール)

これらのことから、小牧市の言い分には根拠が欠けており、保育供給不足の言い訳にしかすぎないことが分かります。

また、違うところでは「以前は4歳児以上しか(通園の継続を)認めていませんでしたが…3歳児も見ることにしたところであり…。…近隣市町村の状況をみて改善したところです。」(こども未来部部長)と話しています。https://www.city.komaki.aichi.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/014/021/h27-1kaigirokukai.pdf

(平成27年第1回小牧市子ども・子育て支援事業推進会議会議録)

では、近隣市町村の状況はどうでしょうか。

 

 愛知県内の状況(合計44自治体)

①年齢に関わらずそのまま通園を保障している自治体 11

②2歳児以上はそのまま通園を認めている自治体 3

③3歳児以上はそのまま通園を認めている自治体 28(小牧市はここに入る)

(定員に余裕があれば、という条件がつくところもある)

④退園させる自治体 2

http://syahokyo.airoren.gr.jp/uploads/2016/02/acdd9c217a4dc3796c3a57eff5092895.pdf

(2015年愛知自治体キャラバンまとめ)

 

愛知県において①は44自治体で11と決して少なくありません。

これかのことを踏まえ、3歳児以下であれば原則退園という自治体の姿勢が、真に子どもを中心としたものとなっていないことが明らかです。

保育の中心は大人でなく子どもです。

今でも続く文科省所管の幼稚園と「保育に欠ける子」とその家庭を対象とする厚労省所管の保育園という体制がこのような事態の根底にあります。改めて保育の主役は子どもであることを訴えます。

 

2.自治体間の格差

1でも指摘したとおり、自治体間で子育て支援策の格差が広がっています。地方自治という名の下で進む自治体間格差は見過ごせません。日本のどこで生まれても子どもの育ちが保障される体制の構築が必要です。

3歳児以下の原則退園は「待機児童対策」と話しますが、待機児童対策のために新たに待機児童を生むという現実に行政は気づくべきです。3歳になれば育児休暇中にも入園申込が可能となっていますが、以前通っていた保育園に入園できるとは限りません。急激な運用変更は難しくとも、育休終了後に同じ保育園への入園を保証することはできないでしょうか。それだけでも親の不安は減ります。

 

3.根底に存在する3歳児神話と誤った伝統的家族観

所沢市での一連の出来事において、2015年5月17日の所沢市長の「保育園に入りたいって子どもが思っているかっていうときっとそうじゃない。子どもはお母さんと一緒にいたい」という発言が問題視された。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/13/tokorozawa-taien_n_7782960.html

3歳児以下退園の根底にあるのは、すでに迷信にすぎないとされている3歳児神話への妄信です。3歳児神話は、男は仕事、女は家庭というジェンダー差別(性別役割分業観)と関連しています。これを伝統的な日本の家族観と話す人はいますが、実はこれは極めて近代的な家族観です。

3歳児神話 → ふたりめを生むのはひとりめが3歳になってからという思い込み → 3歳児以下は保育園退園

 

と接続しているのではないでしょうか。

単なる保育行政の問題にとどまりません。

実際に育休退園となってしまった子どもの親、育休退園という制度により子育てに不安を抱いている人たち、一緒に声をあげましょう。

一緒に行政へ訴えるという人がいればこのページの管理人にメールを送ってください。

​アドレス:oginonaoto1986@msn.com

名古屋市在住:荻野直人

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